退学が怖かったから校則は守ったし、いじめが怖いからポジションを得るために大嫌いだった部活をまじめにやった。
発言は正解を探した。好きなものを馬鹿にされても自分のポジションとしてちょうどいい正解の返しをしていた。
相当無理をしていた。嫌な感情も抑えて押さえて押さえていた。
その結果、周りからはいい奴だと言われ、大嫌いだった部活では部長になった。
仲のいいグループでは「お前が一番先に結婚するだろうな」と言われた。
大学は地方国立に入った。入ってしばらくして、うまいこと学校に行けなくなった。半分引きこもりになっていた。ここで社会全体に対する恨みつらみが膨らんだ。ガタが来たんだと思う。
大学の間も中高の仲のいいグループと会ったが、「この半引きこもり状態の奴をどうやって立ち直らせようか」みたいな空気になっていたのが辛かった。友達は楽しそうだった。楽しそうな高校生活を過ごしていたやつが、大学でも楽しそうにしていて、社会人になってすぐ結婚したやつもいた。その事実が辛かった。酔った勢いで泣きわめきながら暴言を吐いたこともある。
今は31だ。そのグループは全員結婚している。数年ぶりに会った際「人を殺しているかと思った」と言われたことは忘れられない。
正確にいうとコントロールするのに疲れている。
つらい。ひたすらに寂しい。