2021-01-31

なぜ思い出した?

頬はモチモチとしていて、目は細く、嫌みのない笑みが愛らしい。子供の頃は大体そんなものだろう。そんな顔を思い出した。今はどうにも陰鬱とした気分である

中学に通い始めた頃、自宅のマンション飛び降りがあった。当時の友人と昼頃に遊んでいた記憶があるので、おそらく休日だったと思う。私の家で一緒に遊ぶために帰ってきたのだ。その時に事件を知った。

一階に設けられた公園の茂みに黄色規制線が張られており、マスコミらしき大人たちが機材か何かの準備をしていた。すぐに飛び降りだと直感した。野次馬の数は意外にも少なく、私と友人も足早にその場を離れた。そういった空気が既に出来上がっていたのだ。結局その日はどうにも事件が気になり、早い内に遊びを切り上げてしまった。

結論を言ってしまえば、飛び降りたのは私の幼少期の友人だった。一つ年上で姉の同級生である事件の発端はイジメで、その日は加害者の二人に飛び降り強要されたらしい。即死だった。

葬式にも家族と参列したが、当時の私にとってはまるで記憶にない人物葬式で、あまり印象には残っていない。加害者の内の一人が出席していたという噂だけは覚えている。それが先ほど、唐突に昔の顔を思い出した。

マンション侵入防止用の金網が設置されているのは私たちが登っていたからだ。エントランスに「飲食・遊び禁止」の張り紙がされているのも私たちが原因だ。

嫌みのない笑みが愛らしい。今はひどく鬱屈とした気分である

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