鬱で精神科に3年通い、辛うじてまだオタクをやっている30代。いささか旧聞に属するが、御米椎先生の「マンガ家辞め(るのをやめ)ました」を読んだ。呪いの漫画だった。
何が怖いかって、これ。「インプットのためにアニメを一日中観まくったが何も感じない」「今時のアニメは全部似たり寄ったりでついていけない」「良作と理屈ではわかるのに感情移入できない」と吐露するところ。インプットして消化して自分の糧にしたいのに、感性が死んでいて「典型的ロートル」の感想しか出てこないところ。かつては漫画で飯を食っていた人が。
聞けば御米椎先生は鬱病で死にかけていたという。好きなものを、愛していた世界を、生活の手段を、このように病魔が奪い去っていくというのはどのような気持ちになるものなのだろうか。そして同じことは自分には起こらないと俺は言いきれるだろうか。……まあもちろん、そんなわけがない。
不安は以前からあったが、この漫画を読んで一気にそれが具体的な形を取って目の前に立ち現れたように思う。何度となくギリギリな精神を救ってくれた女性声優の歌声が空虚な絵空事に聞こえてくる瞬間がやってくる「その日」に怯えながら日々を過ごしている。