中学一年の頃、クラスの男子に言われた「絵下手だな」という言葉がずっと呪詛のように頭を巡っていた。
当時は確かに「下手」だったが、ずっと絵を描いてきた身分なりのプライドも育ち始めていた私にとって、その言葉はすごく衝撃的だった。
私はその言葉を2度と誰にも言われたくなくて、美術系の高校に行って美大にも進学し今でも細々とイラストレーターをやっている。
この前その苦い思い出と一緒に、ふと、それよりも昔のこと、小学校卒業間近の記憶も蘇った。
写生会でクラスのみんなが描いた絵が壁一面に貼り出された時、一つの絵があまりに「下手」で、それを指差して笑っていた記憶。
その瞬間理解した。もしかしたらあの「絵下手だな」という言葉は、彼なりの私に対する報復だったのではないか。
私はその記憶をこの歳になるまでほとんど思い出すことはなかったが、彼の中でもまた私の邪悪さが呪いのように巡っていたのだろう。
もうずいぶん昔のことだから確かめる術はなくただ推測するしかできないし、本当だったとして私の中でめぐる彼の言葉が完全に無くなったわけでもないのだが。
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ごめん、K君。
この歳になるまで身勝手にあなたを悪者にしていたけど、その大元は私だった。
タヌキックマスター描いて