2020-01-10

「あれより早くても遅くても」問題

彼が助かっていた場合

薬剤の投与が「助かったタイミング」より早くても遅くても(=助かったタイミング以外では)彼は助からなかった

という意味に取れる。

これは「最適な投薬のタイミングピンポイント存在した」という意味である

彼が助かっていなかった場合

薬剤の投与が「助からなかったタイミング」より早くても遅くても(=どのタイミングでも)彼は助からなかった

という意味に取れる。

これは「結局のところ最適な投薬のタイミングなどなかった」という意味である

投薬のタイミングを悔やむ医師に「どちらにしろからなかったよ」と慰めの言葉をかけるようなシチュエーション想像される。

ゆえに前提次第でどちらにも解釈できる。

悪文とまでは言わないが、一文だけを切り出して判断することはできない問題だと言える。

ただし元ネタ場合はやや異なる。

花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった

https://sunagoya.com/jihyo/?p=1726

この短歌は「告白」と「道の長さ」がちょっと離れた関係にあるからこそ、

その二つをつなぐ「逡巡する自分」「機を窺う自分」が立ち現れてくるものだ。

すなわち「告白できた」という意味にとるなら、

「短いと踏ん切りがつかない、長いと逡巡しすぎる、ちょうどいいか告白できた」

とすんなり解釈できるが、

告白できなかった」という意味にとるなら、

「なぜ道の長さなんて持ち出してきたのか?」という話になる。

もっと道が短ければ踏ん切りがついたのに…いやどちらにしろ無理だったか…」などと

詠み手懊悩しているシチュエーション想像するにはかなりの補完が要求されてしまう。

そういった点で「投薬のタイミング」と「道の長さ」は対称的ではない。

いいだかずま氏のアンケートはあまり参考にならないし、

土岐友浩氏は、たまたま解釈を間違えた若者がいたくらいで

最近の若者心理に重大な変化が起きているー!」などと盛り上がるべきでないと言える。

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