最初に睾丸を無くした人の会が出てきて、劇中では難度も金玉を切られそうになるシーンが出てくる。
男はそれを見てゾっとするわけだ。女で言うと、乳房とクリトリスを切り取られ、子宮を潰され、膣を縫われると想像すればいい。
端的に言うと男としての象徴と、快楽と、子孫を残すという生物的価値を失うわけだ。
でもこの映画では逆説的に、男とは金玉でないとも言ってるんだ。
ファイトクラブという映画は、精神的に去勢された現代社会をも描いてる。
ファイトクラブのリーダーから指令が出て、「喧嘩を吹っかけてわざと負けて来い」って言われるんだけど、
どんなに相手に酷い事をして悪口を言おうが、みんな逃げるか穏便に済まそうとする。
ここで俺は思ったわけだ。なんで物理的に去勢される事を怖がるのに、既に去勢されてしまった今の生活を普通に受け入れてるんだ?と。
男としての象徴も、勝利と暴力の快楽も、子孫を残すことを放棄しているのになぜ平気なんだと。
この映画にはステロイドの使い過ぎで去勢してしまった男が出てくるんだが、暴力に生きるそいつの方がイキイキと生きてるわけだ。
気付いたら俺は駆けだして、兎に角ヤンキーを睨んでガンを飛ばしたんだ。
そのうちの一人が俺に眼をつけて、俺の事をボコボコに殴ってきた。俺も殴り返したが、負けた。