女の子が男性を喜ばせるためにセクシーな格好でいろんなポーズをとっているような映像になっているけど、普通に考えてこれは奇妙な設定だ。
場所が室内であれ、屋外であれ、女性がそんなことをするのだから、相手は親しい男性に違いない。ここで奇妙なことが二つある。
一つ。カメラの目線が低いということ。男性の身長は普通、女性より高い。女性の身長が高かったり、男性の身長が低かったりすれば、女性の顔をわずかに見上げるくらいの身長差になることもあるだろうが、IVのカメラの視点の低さはそんなものではない。大抵、女性の腰あたりが目線の位置にあり、まるで男性が車椅子に座っているかのようだ。
二つ。女性は明らかに親しい男性に向けていろんなアピールをしているのに、男性役が存在しないことだ。一人称視点の映像だから当然だと思うかもしれないが、それでもなんのアクションもないのはおかしい。女性はその気なのに、男性はまるでただ何もせず見ているのである。
これはきっと、男性側に事情があるのだ。男性は重度の障害を負って手足を自由に動かすことができない車椅子の男性なのかもしれない。あるいは、男性は女性と離れたところにいて、寂しがっている彼のために女性が、かつての楽しい時間を思い出させるような映像を制作して送りつけているのかもしれない。何れにしてもきっと男性は車椅子だ。視点がその位置だから。
田中ユタカの漫画「愛人」を読むとええよ 末期患者の男が横たわっていて彼の最期を看取ってくれるアンドロイドが彼女だ