ところで、文科省の新庁舎は課ごとの仕切りがなく、近くの打ち合わせスペースでの会話も聞こえてくる。最近、どこかの教員の団体の方だろう、「教員は本当に忙しいんですよ」と繰り返し説く声が聞こえた。
正直に言うが、私は聞いていて「恥ずかしい」と感じた。「教員は忙しい」とは良く聞く言葉だ。私も学校関係以外の人に対しては、教員を代弁あるいは擁護するつもりでそういう話をする。けれども・・・。
教育が忙しくないとは言わない。真面目にやればやるほど仕事は増えるし、人間相手だから自分で時間をコントロールするのが難しい。仕事を精選する必要があるのも事実。だが、それは教員だけでなく、他の多くの仕事に共通する話だ。あまり言いたくはないが、例えば中央省庁や企業でそれなりの立場にいる人の労働時間、拘束時間は、おそらく学校の教員より長い。 最近、経済界の中では非常に教育に理解の深いある方と話した時のこと。3人のお子さんのうち1人が教員、2人は企業勤め。教員はご多分に漏れず、「忙しい、忙しい」と言うが、どう見ても3人の中では一番時間に余裕がある。「なんで学校の先生は『忙しい』と言いたがるのかねぇ」と笑っておられた。
私は、教員の仕事の難しさ、大変さが世の中に十分には理解されていないと思っている。また、もっと子どもに向き合う時間を増やせるように、学校の仕事の範囲を整理すべきだとも考えている。その点はこれからもその時々の立場で努力する。しかし、教員が自ら「忙しい」と声高に主張するのは、もうやめた方がいい。誰の共感も得られないし、言えば言うほど「世間知らず」に見られるだろう。
忙しいと訴えないと、敵を作って石を投げて、それを政策だと言いはる奴にめちゃくちゃにされるだろ? 後、忙しいのだから忙しいといって何が悪いんだよ。