2019-06-01

ブライダルガチャから様子がおかしいまゆPの話

綺麗だと思った。

そうして暫し見惚れた後に、なんてずるい子なんだろうと、胸の中に陰が差した。

の子絶対に言えない言葉を、宮本フレデリカは、冗談めかして伝えることが出来てしまう。

天真爛漫な笑顔ではぐらかしながら、スキップで近づいたり離れたりを繰り返す。

何を考えているかからなくて、何も考えていなくて、そのくせ「あんな顔」をするんだ。

ウェディングドレスに身を包んだフレデリカは、とても綺麗だった。

ああずるい、羨ましい。そんな風に振る舞えるなんて。

私が大好きなあの子だって、そう在れたらどんなにいいか

ずるい、ずるい、狡い。

Pさんまゆはそんなこと望んでません。

全てを見透かしたような瞳が脳裏に浮かぶ

彼女の瞳は時々私の心のいちばん暗い部分を映すんだ。

睫毛の隙間からずるりと呑み込まれしまいそうな深い色。もちろんそれは彼女自身の様々な想いの現れである。だけど、あれは私の色だ、と感じることが最近増えたように思う。

私はまゆの瞳が大好きだ。

綺麗な緑色が私を見つめる時に熱を宿して爛々と輝く瞬間。私はとても弱いから、その危うい眼差しが一番好きなの。

ごめんね、まゆ。

このままでは佐久間まゆプロデューサーでいられなくなる。佐久間まゆが望んだ永遠を、佐久間まゆ覚悟を、想いを、全部全部取り溢してしまう。

アイドルなんてとっとと辞めて私のものになってほしい。

結局の所私の心にはいつもこの最低な感情がある。目を逸らしたい。

佐久間まゆ感情移入して、感傷に浸ることで誤魔化してはいるけれど、それは彼女にそうして欲しいという自分自身の願望に他ならない。

佐久間まゆプロデューサーを信じているから、私はプロデューサーの形を何とか保っていられている。

いつか私は、この感情を拗らせて、どうしようもなくなって、佐久間まゆの業だけを煮詰めて作られた「佐久間まゆの形をした何か」になってしまうのだろう。

その前にどうか、まゆの願いを叶えて。

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