ただ、何をして働くべきか思案している。
私の好きな友人たちや私の好きなものたちは、私に学歴や高収入を必ずしも要求しないのだ。
私は食や職人の技術が好きだ。だからそれに関わるのであれば今の大学院というキャリアはあまり必要ない。
もっと早くに自分を見つめて、その道へはいるべきだったのではないか。
その道へ向かう友人たちに私は嫉妬している。
その勇気、その才能、その判断を取りうる環境のすべてに、私は嫉妬している。
私にもそれの環境がなかったわけではないはずなのに。
不安定な人生を恐れるがあまり、本当に好きな物から遠ざかりすぎた・・・ような気がしている。
ぼんやり、ぼんやりとした人生への不安の冷気が胸の奥からこみあげて、心臓を握りつぶそうとしている。
こう見えても私は一見しては人当たりがいい方で、誰の目にもこんな不安を感じているタイプには見えないだろうし、だれもこんな姿を知らない。
別に今のまま予定通りにいくならば、会社員になる事くらいなら困ることはないだろうとは思う。
だが、そんな私を、私の愛したものたちは、ただの会社員になった私を、愛してくれるのだろうか。
夢に向かってリスクを負い続ける彼らに、私は笑われないだろうか。
彼らと同じ目線でいられなくなったり、彼らと対等に話せなくなってしまうことがものすごく恐ろしい。
あんなまぶしい友人たちに恵まれた私は、もうすぐ、置いて行かれてしまうのだろうか。
ただ、ただ、そんなことが不安で、今日も一人で冷えた飯を食うしかできない私を、私は少し嫌に思った。
はきだし