とても久しぶりに、「ああ、この人の生歌を聴いてみたいなぁ」と純粋に思えるボーカリストに出会って、
運良くチケットが取れたので行ってきました。
「来年は彼のツアーはないだろうし、数年後にあったとして、その時自分が行きたいと思うかはわからない。
でも今は、聴けるなら聴きたいなぁ」くらいの軽い気持ちでした。
ずいぶん昔に同じ場所で、今回よりもずっとずっと前の席で別のミュージシャンを見た事があったのだけれど、
それはとても遠く感じて、でも、今日のライブはとてもとても近く感じた。
それは単純に音響が良かったり、コンタクトレンズの度数強めだったりという物理的な理由もたぶんあるのだけれど、
それよりもきっと、彼の「伝えようとする力」が強かったのだと思う。
彼のライブは、今年の度重なる天災で合計3公演、中止になっている。初めてのソロライブツアーなのに。
その事も含めて
「このステージが最後になるかもしれないと思ってここに立っています。
今日来てくれた人も、これが最初で最後の俺のライブかもしれない」
私はそれがとても嬉しかった。
私は「明日自分が死ぬかもしれない、次の瞬間も、自分は死ぬかもしれない、でも、それでいい」
とずっと思って生きてきたのだけれど、
「明日大好きな人が死ぬかもしれない、次の瞬間も、二度と会えなくなるかもしれない」
という事にはとても鈍感で、とても大切な人がいなくなってしまった時も、
世界一好きなミュージシャンが死んでしまった時も、そして今も、
どうしてもそれを覚悟する事が出来ない。
未だに、受け入れられずにいる。
だから、「覚悟している」という気持ちを持ちながら今このステージに立っている、
と伝えてくれた事が嬉しかった。
私には無理だけれど、同じ言葉を聴いていた彼の事を本当に大好きな人には、
私の様に後悔してもらいたくないから。
目の前の人が当たり前に、来年も、明日も、歌ってくれるとは限らない。
与えられる側の人間として、後悔の無いように。
会いに行きたいと思ったときに、会いに行ってね。