2018-09-26

お彼岸

現実トレースするような夢なんて見たことがなかった。

年齢も性別も何もかも、自分じゃない「視点」で世界が展開する。

あり得ない美しさ。

たこともないそこへ。

映画より絵画より奇想天外な夢。

たいがいは、目覚めたとき現実がっかりはしないけれど

夢の世界のほうがずっと美しく自由だと感じていた。

現実逃避としての夥しい読書映画の賜物)


父が亡くなってもう5年にもなるのに

それから夢に、時々父が来る。

まり「どこの誰でもない私」ではなく

現実の私を夢でも視るようになった。

パースおかしいやたら広い、アニメのような教室

昼下がりなのか、夕方なのか、もう夜なのか判らない。

女子校育ちなのに、教室には2-3人の男子がいる。

(この人たちは知らない。かれらも私を知らないかもしれない)

帰り支度をしている。

その寂しそうにしているその人物に、

一緒に帰ろうか?と声をかけた

すると俯いて佇んでいた人が泣きそうな、何とも言えない表情をして

嬉しいような、感動したかのような、目を潤ませてこちらを見た。

一緒に帰ろうか。

あ、なんで声をかけたのかわかった。この人はお父さんだ。

働き盛りの頃の記憶の中の父だ。

凄く嬉しそうだった。

そして申し訳なさそうだった。



一緒に帰ろう、お願いだから

そういって東京

私の独り暮らしを、

強制的に終わらせて、連れ帰ったのも父だった。

私は帰りたくなかった。

東京暮らしから、帰った時

一番うれしそうで、嬉しいと言って踊ったりする父。

東京にいたとき

母が寂しがっているから、母が寂しいと言っていると

毎日電話かかってきたけど、

私を強引に連れ帰って、帰ろうと言ったのは父だった。

一番喜んでいたのも、父だった

お彼岸なので私の夢の中に、帰ってきたのかな。

台風が来るようだけれど

お供え物を買いに行ってこようかと思う。

落ちも何もない。


お帰りなさい。

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