ある天気のいい休日の昼下がり腹がへったので飯を求めて家を出た。家の近くには食う場所がないから駅周辺に向かって歩いていく。
んで歩いていくと通り道に池を囲んででかい公園がある。いつもここの前を通ってるけど子供もいないおれには公園なぞチラッと目に入れて素通りだ。いい年した男が一人で公園に入るのはちょっと抵抗があるのだ。
でもその時3月になってだいぶ暖かくなったのもあろうか、公園のベンチが目についた。公園のベンチに座って飯を食うのはどうかと。もちろんその考えと同時に恥ずかしさもあった。はたから見れば、30くらいの男が一人で公園のベンチで飯を食ってるのだ。でもその時はそこで食う飯は絶対うまいっていう思いがあって公園で食うことを選んだ。飯は公園近くのコンビニで買ってきたのり弁とお茶だ。おにぎりでもサンドイッチでも唐揚げ弁当でもなくのり弁。公園で食うなら弁当だし、のり弁なら色んな味が楽しめる。のり弁をあっためてもらいコンビニをでて公園のベンチに向かう。
公園なんて入るのは何年ぶりだろう。家族連れが遊具で遊んでいる幸せな姿を遠くにみて、抵抗を感じながらも公園に入り、背もたれのついたベンチに座った。気持ちがいい。天気のいい休日の昼下がりの公園のベンチ。冬の空はどこか悲しげな青でどこまでも続いていた。冷たい風がときおりそよそよと流れる。それでも太陽がじんわりと体をあたためて寒くは感じなかった。さっきの抵抗心はどっかいって買ってきたのり弁とお茶をレジ袋から取り出す。のり弁をひざに置き、ふたを開ける。ふたはレジ袋に入れて風でとばされないように、その上にお茶を置く。割り箸を割っていよいよいただきますだ。心の中で一言唱えてまずはごはんを一口。のりとおかかとごはん、うまい。そしてお茶を一口、うまい。それから数種類のおかずとごはんをもくもくと食べてゆく。間に食べる黄色いお新香がこれまたうまい。最後の一口はごはんで締める。のりとおかかとごはん、うまかった。それからお茶を飲みごちそうさまと、一言。さっきの遠くにいた家族連れはいつの間にかにいなくなっていた。
公園のベンチというシチュエーションはなかなかよいものだ。そしてひとりで公園で弁当食うのはうまいけどもやっぱり、寂しい。誰が作ったかわからないコンビニの弁当を、天気のいい休日の昼下がりの公園のベンチで一人で食うのはやっぱり寂しいものだ。誰かと一緒に作ってきてもらった弁当を、今度はうまいうまいと言い合いながら食べたいな。
天気のよい日に公園で食うほか弁はうまいよ
炊き出しのことをすっかり忘れていたので広場にあわてて駆けつけたときはもう撤収が始まっていた。辺りにはカレーの匂いがただよっている。顔見知りのボランティアに残ってないか...