とか、
小さい頃から仮面ライダーが好きで、仮面ライダーになりたいから俳優になりました。
みたいな話を聞くと、やべえな、と思う。
やべえな、そんなに、自分の人生プロデュースしちゃうほどそんなに、何かを好きになった人なんだ、やべえな。
宗教やアイドルやスポーツチームや恋人やアニメや歌手やアーティストや……
とにかく、色々な 何かを好きになって、その為に他の何かを捨てたり貢いだり犠牲にしたりする人がいる。
私にはそれがない。
好きなものがないわけではない。
毎日の食事は味覚が美味しいと感じるものを食べたいし、可愛いと思うから犬が飼いたい。テレビは情報番組より、笑えるからお笑いが観たい。
でもそれだけだ。
美味しいものの為に料理人にはならないし、犬を飼う為に引っ越さないし、テレビでやっていないからと、別に劇場まで行って漫才を見る気もない。
配偶者がいるけど、ドラマのような熱烈な恋のあとに結ばれた訳では無い。
一緒にいて心地よいから結婚したけど、例えば何か命の危険が起きた時、私は身体を張ってこの人の命を護ろうとするのだろうか。わからない。
好きなものがないわけではない。
本当に好きなものがないのかもしれない。本当に好きなことに気付いていないのかもしれない。
本当に好きなものがある人は、どのくらいいるのだろう。