僕は美人が好きだ。かわいい子が好きだ。今まで惚れた女はみんなかわいかったし、言い寄ってくるブスはみんなお断りしてきた。おかげでいまだ童貞だ。悔いはない。
僕には好きな人がいる。と思う。二年前は間違いなく夢中になっていた。両手で手を握ってかっこいいと言ってくれたことを日に何度も思い出して浮かれ、思い上がらないように自分を戒めた。彼女の言動に一喜一憂した。そんな自分が本当に嫌だった。
先日初めてデートをした。別な子と。まあかわいいんだろう。おしゃれしてる姿は普段と見違えるようだった。うぬぼれではなく、間違いなく好意を持たれている。体を意味もなく触られたし。(ボディタッチは惚れてるサイン、という考えは女性に慣れてない男特有の短絡的な思考だろうか。超勃起した)でもあの子には全然及ばない。
ほんとうにかわいいんだ。あの子は。男が絶えないヤリマンだけど、それでも笑顔がまぶしい。ラインの返信はそっけないし、誕生日にプレゼントのお返しをしてくれる約束を反故にされたりしたけど、忘れられない。手を握ってもらった思い出は僕の人生の糧になり続けるんじゃないか。忘れられぬ。
素行は最悪なんだ。心も特別な美しさを持っているわけではない。(僕以上に心のきれいな人間にあったことなどないが)手を握ったのだってなんの考えもなく、ただ僕の反応を見て楽しんでいるだけだったと考えるほうが自然だ。
僕は顔しか見てないんだと思う。なんて浅い。悔いはないが、こんな浅い人間になってしまった自分を恥じている。人間の中身など、みんな同じように思えてしまう。
だから、かわいくない(と僕が思った)女の子を好きになった時こそ、本当に人を好きになったといえるのかな。誰か僕の心をさらってくれるプリンセスを僕は待ち望んでいる。