■彼の誕生日

高校生のころ

同級生から同じアーティストのファンとして紹介された人と遠距離恋愛をしていた。

私は受験がうまくいき、不器用で嫉妬深い彼は怒り狂い、受験に失敗した。

夜中に数十回の着信履歴があるようなことが続き、お互い大嫌いになった。

大学生になり、同じファンとして仲良くしてた人の結婚式で再会。

お互い少し成長もしていて、普通に会話したのを覚えてる。

これからは友達としてまた逢おうね、と。

それから半年して、バイク事故で亡くなった。

19歳。もうすぐ誕生日がくる夏だった。

アドレス帳から連絡をもらえて参列はできたものの

地域も遠く、恥ずかしさもあり

付き合っていたことを知ってる人は一人もいなかった。

20歳になっていた自分は

あの式の中でどんな感情を抱いていたのか

数年も経てば忘れられていると思っていたし

気持ちの整理がつくと思っていた。

お線香をあげにいきたいけど

一方的に泣かれても困るだろうし

今さら高校時代に彼女がいたなんて

親御さん的には別の彼女がいた可能性だって無きにしも非ずだし

遠距離なのにこっそりこっちまで来てくれてたとか

彼が生きていた証だとしても

私の妄想でも語れそうな事を伝えるのはどうかとか

時が経っていない彼を見て受け入れたくないことから

いろんな理由つけて逃げてるうちに10年が経っていた。

Permalink | 記事への反応(1) | 05:05

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