ハードボイルド系作品や男の美学や本質的な人生観に迫るような作品は見ると好きになることが多い。
ただ、そういう作品はまさに男が惚れる男が主人公なので作中の女にもモテるし、恋愛系な軟派な展開とか話が挟まれ、その度に水を差された感じで萎えることが多い。
特に洋画なんかはキスシーンやラブシーンなどが入れる義務があるのかというくらい高確率で挿入されるので、結局格好の良いと思ってたこの男も性欲には媚びへつらいながら生きてるんだな…と少し幻滅してしまうし、結局「男」というのを恋愛のあれこれで描くことから逃げられないのか…とも思ってしまう。
最近、世代じゃないからいわゆる有名シーンや名言でしか知らなかったあしたのジョーのアニメ・原作をまともに見る&読む機会があった。
主人公のジョーも一応複数の女から好意を寄せられている、寄せられていたという描写があるのだが、ジョーは美学に燃え尽きることに人生を捧げ生きる本物の男なので、まともに恋愛らしい関わり方をするシーンはないまま終わる。
そしてドギツイまでの重厚な世界観やドヤ街の雰囲気なども相まって軟派な描写特有の変な浮つきを与えず水を差させない。
ここまで完成度高く昇華された、ハードボイルドな一人の人間の人生美学を扱った作品は他にないんじゃないかと思った。