ただ、履き違えてはいけないのは、それはあくまで自分のものに対して使う時だけだということだ。
なぜなら、他人のものに対してもったいないという思う感情は、つまり、それを自分がほしいと思っていることを表明しているに過ぎないからだ。
他人が何かを必要としていない、もしくは何かの価値を見いだせず無駄にしている。
そんな時にもったいないと感じるかもしれない。
しかし、忘れてはいけないのは、必要とされていなかろうが、無駄になっていようが、それは他人のものだということだ。
それに対して、ただもったいないとだけ言葉を発すれば、それを欲しがっていると思われても仕方がないのだ。
もしそれを、その人の立場になってもったいないと思えたなら、すべきことはその活用方法を見出してあげることのはずだ。
それこそが本来の「もったいない=無駄にしない」という美徳であり、相手に対する思いやりのはずなのだから。
つまり、ただ人から押し付けられる「もったいない」は、人から価値を奪おうとする体の良い口実にすぎないのだ。
そんな人間にはこう返してやればいい。
「ご心配なく。あなたこそあなただけの特別な価値を無駄になさらないでね」と。
しかも、誰ひとりとして、その才能に活用を見出そうとするものはいなかった。
それほどまでに、日本は他人のことばかりを気にする国民ばかりになってしまったのだ。
これの国は本当に死んでしまったのかもしれない。