その飲み会は友人が狙っている女性とお近づきになるためにセッティングされたものだったので、
友人が狙っているという子は確かに良い子だったが、恋愛感情を持つことはなく終わった。
そしてその友人はその女性と付き合うことになりめでたしめでたし、で終わるはずだった。
しかし、ひょんなことからその女の子と連絡を取り合うようになり、
背が高いところも、短めの髪も、よく通る声も、気付けば自分の好みど真ん中だということに気づいた。
今までは年下の女性と付き合うことが多かったし今後も年上と付き合うことはないだろうと思っていたが、
僕から数えて2つ年上の女性はそういう思考をいとも簡単にすっ飛ばしてくれた。
また、その女性と彼氏との関係も上手くいっていなかったこともあり、
すぐに僕のもとにやってくるだろう、と考えた僕は無遠慮に育つ愛情を制止することなく気付けばもう完全にハマってしまっていた。
しかし意外や意外、そのカップルはいくつかの危機を乗り越えはや半年も付き合っている。
そしてようやく気づいたのは、あぁ僕はとっくの昔に失恋をしていたのだという事実だった。
この事実に気付くのが遅れてしまったのは、彼女の態度もひとつの原因ではある。
僕に対して異性としての好意も確実に持っていたし、彼女もはっきりとは言わないがそれを認めていた。
中途半端に垂らされた糸を手繰りながら、僕は自分の中の愛情をじっと一人で育んでいた。
でも僕は失恋をしていた。
選ばれなかった。
やっと気付けた。
さよなら。