もう20年近く前の話になるのかな。
僕が履いていたユニクロのパンツを思いっきりディスった女の子は文化服装学院で学んでいた。
「信じられない」
彼女はそう言った。
彼女は当時の若い子たちが憧れるファッションブランドにパターンナーとして就職が決まっていた。
僕が地元に帰ってからは音信が途絶えたけど、2度だけ会うことがあった。
彼女はぜんぜん変わらず美しくてかわいくて、
たぶんなにかしら心の交流はあったと思っている。
もちろんその時も僕はユニクロのパンツとくつしたを履いていたけどね。
その後は知らない。
今でもあるのかな。あのブランドは。最近名前を聞かないけれど。
今度調べてみようかな。
最近知人から風の噂で彼女が出産したと聞いた。高齢出産でけっこういろいろ大変らしい。
facebookで検索してみたけれど旧姓の彼女はみつからなかった。
彼女は今でも自分が認めないなにかを激しくディスっているんだろうか。
ユニクロのウェアを着てプレーする錦織選手をテレビの前で激しくディスっているだろうか。
「錦織くんが悪いんじゃないよ。ユニクロなんて着せるまわりのバカなオトナが悪いんだよ」
彼女がもしも昔のままだったらきっとたぶんこう言うはずだ。
彼女は彼女が激しくディスっていた、いつまでも自分を若く思っているカンチガイオバサンにならずにすんでいるだろうか。
僕たちは今も20年前もオトナだったんだよ。錦織君もオトナなんだよ。
彼女はユニクロのインナーに古着のダウンを重ね着している僕になんと言うだろう。
僕はきっと妻が買ってきたGU(ジーユー)のパンツを脱ぐことはないだろう。
君の愛する息子にこの曲を贈るよ。
https://www.youtube.com/watch?v=eimjmlWiP9I