例えば、オーストラリアの家畜は放牧が主で、基本的に放し飼いなので食べてみると自然に近い味わいがあるという話がある。
自分もとある私大で猪を研究されている生物研究の教授の特別講座を受講した時には、実は豚は猪を家畜化したものであると説明を受けたものだ。
なるほど確かに日本の猪は豚の味で若干ヘルシーで薄くスライスしたりして牡丹鍋とか香辛料をふんだんに使った豚焼肉などで美味しく食べられるが、普通に嗅いでみると実に生臭い香りがして食べられたものじゃない、と感じるものだ。
但し、豚テキのように分厚く切って食す事は容易であるが臭みがやや気になる。
具体的な事例は挙げられないが、どうやら猪と豚はDNAが異なるらしい。
例えば、豚は血抜きを行う事で臭みや劣化をある程度防ぐ事が出来るが、猪は血抜きをしても臭い。
野生の動物でいえば、シカ肉は塩漬けにするなどして干したものを使用する事が多い、というのもシカ肉もまた臭いのである。
鴨ではなく家鴨(アヒル)を使用する鴨南蛮という料理もまた同じ理由である。市場に出回らず高級、というのもあるかもしれない。
話を戻すが、野生の猪というのは、そもそもその表現自体が誤りである。
正確に言えば野生化した豚なのである。
元々は野生の猪を家畜化したものが現在の豚であるが、それがまた放牧によって野生化していったのだ。
牡丹鍋に代表される日本の猪料理も肉の多くは野生化した豚なのであり、臭みが少なく身も柔らかいのは当然である。
進化論に関する動物学的研究には、豚のDNAが野生化した豚つまり猪のDNAと合致したという報告がある。