澪律が絡んでても自然と残った二人で絡むという流れになったから。
唯はあずにゃんに首ったけ。
別に寂しいんじゃないの、わたしはただこうやってみんなが楽しそうにしているのを見るのが好きなの、だからまったく問題ないの。
でもやっぱり寂しいって感じてるのを必死でごまかしているだけだってわかってしまうんだよ。
お茶を入れて当たり前、お菓子を持ってくるのも当たり前になってしまった。
「にこにこしてくれてるだけで救われてるんだよ」と、澪や律は気を利かせて言ってくれるかもしれない。
でも誰よりも自分が一番よくわかってるんだよね。
気を遣って話を振ってくれてもすぐにいつものペアに落ち着いてしまう。
いくらお嬢様育ちで鈍感なところがあるとしてもさすがにいたたまれない空気を感じてしまっている自分がいることにムギは気づいている。
でも自分でどうにかできるものじゃないから、今の宙ぶらりんな状態で上っ面だけの笑顔を貼り付けている。
せめてあともう一人、落ち着いていて唯とか他のメンツに目をかけられないような地味な子がいればなあと思わざるをえない。
きっとムギは胸にしこりがある思い出としてけいおん部での記憶を頭の奥に無意識に追いやってしまうんだろう。
楽しそうな空間。だけどそこでは自分は傍観者。でもその空間にいれたことだけが、普通の生活をひとときでも過ごせたことが幸せだった。
そうやって自分に懸命に言い聞かせながら、理由がわからない涙、わかっているけど抑えきれない衝動で溢れてくる涙で枕を今晩も濡らすんだろう。
かわいそうなムギ。