2013-02-21

何階から落ちますか?

 ミクシのコピペコミュより再コピペ(なお表記上の都合により一部改変)


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予期せぬ時に予期せぬ出来事が起きると、どうして良いかからなくなる。

これは、俺が先日体験した話。

俺はその日、市内のデパートに買い物に行った。

デパートと言っても大手のところではなく、ちょいと古い小さなデパート

雨が降っていたこともあり、平日の昼間、お客はあまり居なかった。

俺は5階にある紳士雑貨で目当ての物を買い、さて帰ろうと思ってエレベータに乗った。

から降りてきたエレベータには、2人のお客が乗っていた。ちなみにエレベーターガールなんて洒落ものは居ない。

4階に着き、お客は2人とも降りる。エレベータには俺1人。

そのまま下がっていき、3階を過ぎたときだった。

突然エレベータが止まり電気も消えた。


どうやら停電のようだった。

これには焦った。「うぉっ」とか素で言ってしまった。

誰も聞いてなくてよかった。

しばらくすればすぐ動き出すだろうと思ったが、どうにも落ち着かない。

なにしろこのエレベータ、窓がない。しかもなぜか非常灯もつかないので完全に真っ暗。このオンボロデパートめ。

明かりが欲しかったので、俺は携帯を取り出した。

ぼうっと明るくなる。なんとなく落ち着く。

エレベータ内の奥に立っていた俺。

携帯から顔を上げて何気なくドアの方を見た。

操作パネル板とは逆側の角に、誰かが後ろを向いて立っていた。

よくある、髪の長い白い服を着た・・・というものじゃなかった。

暗くて色はよく分からなかったが、ワンピースを着たショートカット女性だった。

俺以外乗っているはずがないのに、そこに居た。

俺は固まった。ほんの数秒だろうけど、俺は動けなかった。

それを見たくなかったが、なぜか視線をそらせなかった。


心の中で、お願いだから振り向かないでくれ、と祈った。

声も出さないでくれ、動かないでそのままじっとしていてくれ、と祈った。

もしそいつがこっちを向いたり、何か、きっと恐ろしい声で何か言ってきたら、

俺は永遠に叫び続けることになると思った。

自分叫び声で気が狂ってしまうと思った。


俺は携帯を切った。今度は明かりが怖かった。

馬鹿げてるかもしれないが、その明かりのせいで、そいつがこっちを向いてしまうのではないかと考えた。


徐々に暗闇に目が慣れてきた。そいつは相変わらず、角に頭を付けるような格好で、こちらに背中を向けて立っている。

俺はじっと固まっている。嫌な汗がたくさん出てきた。


・・・するとそいつが動いた。

背中を向けたまま、操作パネルの方に動いていった。歩いている感じではなかった。滑るように、音もなく動いた。

俺はなんとか叫ぶのを堪えた。声を飲み込んだ。

そいつ操作パネルの前に立った。


俺はもう、ガタガタ震えていたと思う。もうダメだ、もう限界だ、と思った。

そいつが手をあげて、最上階のボタンを押した。

暗かったはずなのに、そいつの指はよく見えた。爪も剥がれてボロボロの指だった。

そしてゆっくり振り向いて、低い、低い声でこう言った。



「何階から、落ちますか?」











俺「君との恋に落ちたいね

霊「ステキ!抱いて!」

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