障害を持って生まれ、父母からの愛を得られなかった親父。
なんとか嫁を見つけた親父。
結婚当初は実家に同居していたのだが、嫁いびりの耐えない姑や舅達から逃亡するように安アパートに一家三人で引っ越すことを決断させられた親父。
子供が増え、3人目を産むときに、経済的事情で実家へ戻らざるを得ないという逃げを打った親父。
4人目が生まれたのは人生設計<性欲の結果。
結局、実家に帰ってから嫁との折り合いが悪くなり、一ヶ月は家をあけることもしばしばだった親父。
酔うと包丁を振り回していた親父。
当時小学生だった俺と行った旅行先で、若い女をナンパし夜の街に消えていった親父。
中学時代、家事を放棄した嫁のかわりに毎日弁当を作ってくれた親父。
ただし、その弁当は他人に見せれた代物ではなく俺は人前で弁当を食うのが堪らなくトラウマになった。
とはいえ、親父の嫁の作る弁当も同じレベルだったため、そのトラウマは親父だけのせいではない。
離婚後も、別れた嫁からのいやがらせで職場への数分おきの迷惑電話や怒鳴り込みにもめげずに定年まで勤めた親父。
そんな親父がワイン蔵を見学に行き、さんざん試飲した挙句選んだ3本のワイン。
一本は俺。白ワイン。あとの赤ワインと濁りワインは妹達の下へ行ったのだろう。
そんなワインが、ほのかに甘くてフルーティで非常に飲みやすい。
さすが、美味しんぼをわけのわからない法則で仕入れてきては、読んでいただけのことはあるのか無関係なのか。
そんな、親父のワインと俺。
2011-09-20 記