世俗って言葉は神聖とかそういう概念に対置されるものだと思ってる。聖書の解釈とか信仰の問題とかそういう宗教的なものに対して、社会問題や日々の労働、娯楽だとかいった実生活の問題を包括する言葉。それこそバッハの曲が宗教楽曲と世俗曲に大別されるみたいに。
でも世俗って言葉を低俗だとか通俗的みたいなニュアンスで使う人が割といる気がする。「低俗」の筆頭たる酒ギャンブルセックス的なものをまとめるような言葉として、「高尚」だったり「生産的」だったり「有意義」なものの反対の概念として。
そんでそこには芸術や学問を高尚とするようなスノビズムだったり、労働を善とする拝金思想だったり共同体主義とかがあって、「世俗的」なものとの間に優劣があるかのようなニュアンスを強めに感じる。
世俗って言葉で括るなら、ストゼロがぶ飲みするのもソープ行くのも大学で研究するのも美術を嗜むのも刺客の勉強するのも全部世俗的じゃねって思う。
もちろん文脈に応じた使い分けみたいなのはあるんだろうけど、その手の使い方をする人って例えば聖俗一致みたいな言葉のニュアンス掴めるんだろうかって思う。
実際おれも、宗教というものをいまいち理解してなかった時はピンと来なかった。
宗教が、居やしない神様をダシに金を毟り取られるバカの盲信ではなく、謎や不条理に対して「正解」を用意してしまって納得を得るためのものであること。自然法則については科学がより蓋然性の高い推測を導くようになって神様の出番は無くなったけど、人間存在の不条理や規範についてそうはいかないみたいな、そういう……