子供の授業参観があり、その後保護者懇談会があった。そこで次年度のPTAクラス役員決めがあったのだけど、定員二名のところ、五名の立候補者があり、立候補者達でじゃん拳をして役員を決めることになった。
立候補者の中には、クラスで最悪に評判の悪い、イジメの親玉男子の母親がいた。彼女はじゃん拳に負けたので、役員にはなれなかった。彼女は果たして自分の息子がクラスの女子や体力のない男子をいじめまくってしょっちゅう泣かせているのを知らないのか、それとも、自分の息子が迷惑をかけ続けているのを知っていて、せめてPTA役員という面倒事を皆の為に引き受けようとしたのか、どっちなんだろうな。
……という話を、夜、夫に話そうとしたら、途中で遮られて、話を曲げられた。小学校のPTAクラス役員は、六年生で受けると面倒だからって争ってでも五年生までにやりたいという人がいるが、あれは罠だ。一度役員を引き受けてしまうと、本部に「あいつは押せば断れない」と思われて、次は地区役員、本部役員、PTA副会長、そして旦那を会長にと、次々に押し付けられる。そして会長までやってしまうと中学のPTA会長も否応なしにに引き受けることになる。
夫が言いたいのは、嫁が馬鹿だと旦那は末の子が中学を卒業するまでずーっとPTA会長をやらされ続けることになるのだ、ということだった。
そして夫の持論は続く。うちの子供の小学校は児童の人数が多いから、馬鹿な嫁を持たない限りはPTA会長という貧乏くじを引かされることはないが、俺の実家の学区小学校だと、児童の人数が少ないので自主的にPTA会長をやろうという人はいない代わり、男は地元の生まれ育ちの奴が多いので、PTA会長職は地元の繋がりで信頼されている奴が頼まれてやるのだと。一種の名誉職のようにPTA会長を言う。
俺もあのまま実家にいたら、きっと先輩からPTA会長を頼まれて大変だったと夫は楽しそうに言う。私は「ないよ。」と答えた。
夫の実家に住み続けていたら、私は今頃生きてないよ。子供を生む前に首括って死んでたわ。そしたらお前の家族、お前含めて誰も私をお前んちの墓に入れたいと思わないし、私の両親もそう思わないから、きっと今頃私は故郷で祖父母と一緒の墓に入っている。
こんな、余計なことを話して夫の機嫌が悪くなんないはずはないので言わなきゃいいんだが、たまに言わないと気が済まなくなる。
言っちゃってから気づいたが、私が仮に死んでたとしたら、夫は今頃別の女と結婚して実家に住み、嫌々だというていで楽しく小学校のPTA会長をやっているのかもしれないな。