工学研究科D3だった俺はアカデミックの厳しさと金のなさに耐えかね、修了後は大手企業に就職することにしたのだった。
自信はあった。厳しい環境に耐えて論文を投稿し、学部の成績も上位で、俺より深く理解している奴はほとんどいなかったからだ。はてなで日本の企業の古さ、非効率さは聞いていたし、そこに俺が新しい風を吹き込んでやるぜ、頭脳的にな!という感じだった。
いや、甘い、俺は甘かった。実際日本の大手の奴らはすごい。確かにアメリカや中国は勢いがあるけど、そこを相手に瞬殺されずにまあまあ戦ってる時点で偉いことですよ。
何というか、確かに全員が勉強的な意味で頭がいいとは言えないんだけど、みんな仕事と精神が共振しているというか、それほど働くのが嫌じゃないんだと思う。
俺がなんか悩んでる間に、ちょっとずつ違うパーツを10種類作って評価するし、18:30に評価がひと段落したら、今日中にもう一個データを取りに行く。分からなくても悩まない!
俺は考え込んでばっかりだし報告は遅いし上司と話すのは嫌だし毎日めちゃくちゃ帰りたいと思っている。マジか、自分がこんなに仕事をしたくないとは知らなかった。
しかし博士の肩書きと、頭良さげな話ができるおかげで何とか時々役に立って暮らしている。これがなかったら職場で役に立たない無能なおじさんとして生きていくしかなかった。
何が言いたいかというと、「ネットの大手企業エアプdisり野郎の言っている言葉に耳を傾けるな」「仕事力が低い奴は勉強やっておけ」「実際仕事をしまくるおじさんは効率が多少低くても凄い。その精神状態に洗脳してくれないか」の3本です。ンガググ!