2024-10-11

拡張TQFTの数理モデル

定義 1: n次元拡張TQFTは、以下の対称モノイダル(∞,n)圏の間の対称モノイダ関手として定義される:

Z : Bord_n^fr → nAlg(C)

ここで、

定理 1 (Cobordism Hypothesis): n次元フレーム付きTQFTは、その値域圏の完全双対対象と一対一に対応する。

Z ↔ Z(pt_+) ∈ nAlg(C)^fd

ここで、pt_+ はフレーム付き正の点、nAlg(C)^fd は完全双対対象の部分∞圏を表す。

定義 2: Bord_n^fr の k-モルフィズム (0 ≤ k ≤ n) は以下のように定義される:

定義 3: nAlg(C) の構造は以下のように帰納的に定義される:

  • 0Alg(C) = C
  • (k+1)Alg(C) = Alg(kAlg(C))

ここで、Alg は代数対象の∞圏を表す。

公理 1 (モノイダル性): 任意の k-モルフィズム M, N に対して、

Z(M ⊔ N) ≅ Z(M) ⊗ Z(N)

公理 2 (関手性): 任意の合成可能な k-モルフィズム f, g に対して、

Z(g ∘ f) ≅ Z(g) ∘ Z(f)

公理 3 (単位元の保存): 各次元 k の単位元 1_k に対して、

Z(1_k) ≅ 1_Z(k)

公理 4 (双対性): 向きを反転した多様体 M^op に対して、

Z(M^op) ≅ Z(M)^∨

ここで、^∨ は双対を表す。

定理 2 (Factorization Homology): n次元拡張TQFTは、以下のようなファクトリゼーションホモロジーとして表現できる:

Z(M) ≅ ∫_M A

ここで、A = Z(R^n) は En代数、∫_M はファクトリゼーションホモロジーを表す。

定義 4: En代数 A は、以下の構造を持つ:

定理 3 (Dunn's Theorem): En代数の∞圏は、n回反復されたE1代数の∞圏と圏同値である

En-Alg(C) ≅ E1-Alg(E1-Alg(...(E1-Alg(C))...))

具体例:3次元拡張Chern-Simons理論

3次元拡張Chern-Simons理論は以下のように定義される:

  • Z(pt) = Rep(G)(G の表現圏)
  • Z(S^1) = Z(Rep(G))(Rep(G) の中心)
  • Z(Σ_g) = dim(Z(Rep(G)))^g(種数 g の閉曲面に対する値)

ここで、G は単連結コンパクトLie群

定理 4: 3次元Chern-Simons理論のモジュラーテンソル圏は、量子群 U_q(g) の表現圏と同型である

Z(S^1) ≅ Rep(U_q(g))

ここで、q = exp(2πi/(k+h^∨))、k はレベル、h^∨ は双対コクセター数。

定理 5 (Baez-Dolan Tangle Hypothesis): n次元フレーム付きTQFTは、(n-1)次元タングルの(∞,n)圏 Tan_n の対象と一対一に対応する:

Z ↔ Z(pt_+) ∈ Ob(Tan_n)

この対応は、コボルディズム仮説の一般化であり、高次圏論的な観点からTQFTを特徴付ける。

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