君との思い出はとても沢山あるけれど、あまり色んな所に行くことはできなかったので、突然会社をサボって熱海まで出かけた日のことはお出かけから帰ってきた時まで色んなことを鮮明に覚えています。あとは、君が食べることがとても好きだったせいか、食事の思い出がいっぱいあります。君と初めて二人で行った新宿の地下のバーは勿論、高田馬場で漫画喫茶に行く前に寄ったレストランも、君がごちそうしてくれたお寿司も、近所のハンバーグの美味しい店も、お肉屋さんのからあげも、多分全部覚えています。僕の好みに合わせてくれていたという前提はあるけれど、食事に対する評価はほとんど二人同じでしたね。勿論君が作ってくれた料理も覚えています。初めて作ってくれた朝食のサンドイッチも、君の仕事がすごく暇だったときに夕方から作ってくれた色んな料理(知っていると思うけどビーフシチューが一番好きでした)、僕が野菜を食べないことを気にして作ってくれた鍋も、定番の肉と野菜を炒めた何かも全部美味しかったです。
食事について僕が君に教えてあげることが出来たのはバーでのお酒の頼み方くらいだったけど、それも僕がお酒も偏食なせいであまりバリエーションを広げてあげることが出来ず申し訳なく思っています。でも、君が僕の知らない誰かとお酒を飲むときに、僕のことを思い出してくれるといいなと思います。これは多分嫉妬かな。君が好きだったカルディのベリーニも、二人で気に入って買いこんだシードルも、僕は一人では絶対に飲まないお酒だったけど、とても美味しかったです。僕と飲む時はいつもすぐに酔ってしまう君の変な癖、残念だったけどとても愛おしかった。
何百回も歩いた駅から君の家までの道のりを、今でも鮮明に覚えています。2人で歩く機会が少なかったのは僕のせいで、それは君が僕から離れた理由でもあるのだけれど、行きも帰りも僕は君のことばかり考えていました。これは知っていたかな。君がたまに勝手に採っていたローズマリーはまだあるのでしょうか。僕があの道を歩くことはもうないけれど、今は君があの道を歩かなくなる日が来ることがとても悲しいです。僕は君に僕のことを忘れて欲しくないけれど、それと同じくらい僕のことを思い出さないくらい幸せになって欲しい。どうかお元気で、お幸せでいられますように。