おじいさんとおばあさんと増田さんが仲良く住んでおりました
おじいさんは川は芝刈りに
増田さんは狂った世の中を呪いながら日夜何のためにもならない日記を書き連ねていました
ある時おじいさんが川で芝刈りをしていると川の向こうから大きな大きな布が流れてきたのでおじいさんの大好きな芝刈りの邪魔になると思い布を何度も何度も切り刻んでしまいました
この時、散り散りに切り裂かれた布が川下へと流れていき、その先で他のゴミと一緒に混じって大きな大きな島になりました
これがおのころ島です。今から桃太郎が出てきてこれを破壊します。
おばあさんはYAMAHAを選んだことを後悔していません。アクセルを全開にする度にYAMAHAの機体がご機嫌な音を奏でながら退屈な村の空気を引き裂くように飛び回るのです。おばあさんはYAMAHAの何を買ったのでしょう。バイクは飛ばないもんなぁ
増田さんは狂っていく日常に怯えながら窓から映る地獄のように赤い夕日を見てほんのちょっとノスタルジーを感じるのでした。あの頃と変わらねぇな…そんなことに気付いてしまったのです。
瞬間、増田さんのパソコンはパイプオルガンのような音を奏でながらモニターから大量のPCパーツを吐き出して逝きました。もう二度とこの世界で日記を書くことは出来ませんでした。
窓だけが唯一無事でした。
この古生代のような世界で古臭い民家で木造の家の土間を跨いで襖を開いた先にある著しく文明にズレのあるPCパーツを嘔吐した機械と透明なガラスの付いた部屋で
窓だけが唯一無事でした。
増田さんはその窓に映る真っ赤な空を眺めながら、この時代の文明では到底作れそうにないガラスをペロペロと舐めるのでした。
真っ赤な夕日のせいでした。
真っ赤な夕日のせいでした。