2021-10-21

先生への贈り物

小学生の頃、クラスでなにかの催し物をやることになり、ゼリーお菓子を作ってふるまうことになった。

火を使わずに作れるものだったことと、高学年だったこともあり、児童自主性にまかせて進められることになった。クラス女子提案により、日頃の感謝をこめて、担任先生の分も本人に内緒で作ることになった。

お菓子作りはスムーズに進んだ。液を型にながしこんで冷蔵庫しまった後、片付けが終わったので、先生を呼んだ。先生は一通り調理室のチェックをした後、冷蔵庫がある調理準備室に入った。すると、ひと呼吸置いた後に何かを悟った女子数名が、焦って準備室に駆け込んだ。お菓子先生へのサプライズとして用意していたので、準備している量が多いことに気づかれたらマズイと思ったらしい。

当時私は、もしその事について言われたら、「液が余ったので予備に作りました」と返事すればいいのにと思っていた。焦って不自然な行動を起こすより、現実的な嘘をついてサラッと流す方がバレにくいと思ったからだ。

しかし、それではダメなのだ。ついでに作った予備のお菓子をもらって、心の底から嬉しいと感じる人がいるだろうか。贈り物が何たるのかを、同級生女子たちは良く理解していた。それに対し私は、多少勉強ができたために、自分聡明子供だと勘違いしていた痛い子供だった。

このことに気がついたのは、この出来事が終わってから随分後のことだった。

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