AEDではないが、川に飛び降り自殺した人が沈んでいく様子を見たことがある。
橋の上から5.6人が下を覗き込んでいたから、イルミネーションかな?と思って私も見てみたんだ。
スーツのおじさんが浮いたり沈んだりしてた。
近くの人が110か119に電話してる様子だった。
そこらへんにロープもハシゴもなくて、飛び込んだところで私は泳げないから無駄死にするだけだ。浮き輪になりそうなものもない。
帰宅ラッシュの時間で、オフィス街にある橋。いつの間にか人が無数に集まっていた。
おじさんが浮いてる時間はだんだん短くなっていく。私は何も出来ない。
しばらくして、おじさんは浮いてこなくなった。時間にして5分ほど。
近くにいたおばさんが「あ~あ、沈んじゃった」おじさんが沈んだ後にきたカップルは「え!なに?なにかイベント?!」「クリスマスのイルミネーションかな?」なんて話している。
私はただ、立っていた。
自転車のおじさんに何があったの?と聞かれたが、声が震えて答えられなかった。おじさんに謝られた。
いまだによく、沈んでいくおじさんが頭の中に浮かんでくる。その度に苦しくなる。
自殺願望のある私にとってはおじさんが羨ましく、そう感じてしまう私自身が悔しいからだ。
あの時、近くに交番があった。私はそれを知っていた。あそこに走り込んでいれば、という後悔が大きい。
今回、おじさんは自殺だったのでこれでよかったと思えるが、AEDはまた違うんだろう。