2020-09-20

今年の夏は、田舎でもないのにアマガエルが鳴いていた。

私の住んでいるマンションには緑地があって、中庭水路が貫いている。暑い季節にはそこに水を流して涼をとる。子どもの頃はそこでびしょ濡れになりながら遊んだものだけれど、人工の池だから生き物なんているはずがなく、寂しい。水路の末端の池の水が秋になっても抜かれていなかったときには大量のミジンコが発生していたけれども、彼らは水と一緒に干上がるか、下水に流される運命だった。

けれども、今年の夏はなぜかアマガエルの鳴き声がずっとしていた。夜になるとかわいらしい声がして、夕立のあとの夜風が気持ちのいい晩などには、どこか避暑に来たみたいな気分だった。コロナ禍で自粛余儀なくされた身としては幾分気が紛れたし、仕事中にカエルの声がするというのもよかった。

それにしても、カエルたちはどこから来たのだろう。このマンションに住んでいる子供水路に放してやったのか。こうして生き物の声がするのは風情があるのだけれども、秋になって水路に水を流さなくなって、カエルたちはどうしたのか。現に、今聞こえるのは緑地に潜んでいるコオロギやマツムシばかりで、アマガエルはいつの間にか姿を消している。

私も、子どもの頃に祖父母の家の近所でやっていた夏祭りで取った金魚を、飼えないからと祖父母の家の近所の噴水に放してしまたことがある。今になって考えればずいぶんと勝手な話であるし、餌も少ない分長生きできなかったことだろう。悪いことをした。

カエルを放したのも、私が考えの足りなかったときと同じ年ごろの子どもだろうか。そもそも、その子カエルをどこで捕まえてきたんだろう。うちのマンション敷地には虫がそれなりにいるのだから飢えることはないだろうが、オタマジャクシたちが育つ場所が今はない。

カエルたちが、雨水の通る溝をぴょんぴょんと跳ねて行って、近所の広い川にまで、できることなら生まれたところにまで、たどり着けていることを祈るばかりだ。

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