クソガキだった話。消化不良。
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子供のころ家にいるのが嫌だった。これといった理由はない。なんか落ち着かなくて嫌だった。
もともと夜型の人間だったのに夜にはリビングでテレビを見るとかもできず、思い立って、夜中にうごくメモ帳とか、手軽に暇つぶしをしたくてDS持ってうろついてた。
近くにコンビニがあったけどどうにも使いづらくて、あちこちでWi-Fiの繋がるスポットを探し歩いた。
そしたら店やら家やらの近くにWi-Fiを拾える場所があることに気が付いた。
適当に暗くて隠れられそうな場所に(未成年だったから補導とかが怖かった)座って、鍵のないWi-Fi拾って、ちまちまDSして、満足したら帰る。
これを一週間か二週間か、そのくらいやってた。
そしたら冬のある日、見知らぬお婆さんが「いつもここにいるけど寒いでしょ」「これあげるからね」って急に声かけてきて、ミカンをひとつふたつくれた。
内心もう大パニック。
DSやってるんだからライトに照らされてそりゃ見えるに決まってるんだけど、それにすら思い至らず「あ、え、ど、どうも(ぼそぼそ)」って感じで断ることすらできずに撤退。
自宅の一階の窓から抜け出して、鍵がついてないとはいえ勝手にWi-Fi繋いで暇つぶししてるもんだから、補導でもされたら困るどころではない。
怒られたり詮索されたりするのも困る。警察に夜出歩いてるとか言われるのは一番困る。
幸いそこから立ち去ったらそれ以上声をかけてくることもなくて、数日ドキドキしたまま過ごすだけで本当に何もなかった。
それ以降はもうやってない。
迷惑かけただろうから謝罪とかお礼とか、いろいろ言いたいことはあったんだが「夜に出歩いてこそこそゲームしてたら初対面のお婆ちゃんがミカンくれた」ってことしか記憶にない。
ごめんなさい。ありがとうございます。ミカンは勿体ないからおいしく頂きました。