一緒に暮らそうと話をしていた女の浮気が発覚したのは、日本を出る1年前のことだった。
「そっか」
これが素直な感想だった。薄々気付いていたし、当時の僕のオトモダチもお行儀がよろしくない奴等ばっかだった。予想通りお相手はオトモダチの一人だった訳だ。純朴とまでいわずとも、世間知らずというか抜けている癖して、親や世間にヘイトを抱えた二十歳そこそこの女が周囲に靡くのは自然の摂理といえた。
発覚した原因はオトモダチの、名目上は交際相手であるアヤからの密告だった。
「そっちは別れんの?」「いや別に、誰とセックスしようと私の知ったことじゃ無いし」「すげぇね。俺は無理」「意外と純粋なんだ」
わざわざ教えてくれた、というか証拠を用意してくれた辺り、表面上はアヤも素直な面が残っているように思えた。
擦れ切っても残ってしまった残骸こそがその人の持つ本質なのだろう。アヤの母親がもう少しまともであったら、アヤはどんな人生を歩んでいたんだろうかと考えつつ、当の浮気女とオトモダチの処遇をどうするか考えて、とりあえずラインをブロックした。
散々酔ったアヤをタクシーに押し込んで、アパートまで向かう。腹いせにコイツを抱いてやろうかと思い、でもこいつブスだしオトモダチが出し入れした所に愚息を突っ込むのも気持ちが悪くて、仕方が無いからひとり床で寝た。
月曜になって出社していつものように働いてる内に「もうこういう宜しくないオトモダチと関わるのもやめにしようといけない」と考えた。
お互いに、お互いがどうでもよくて、そういう無干渉なのが心地よかったんだけど、良い年だし大人にならなきゃって思った。
続くかも
実際浮気しない女の方が珍しいくらいな気もする。