こんばんは、寒蘭です。花を咲かせて下さりありがとうございます。外は寒いですね。冬についていくつか挙げてみましょう。まずは音。鳥が枝を蹴り、霜が溶けて石が転がる、そんな微かな震えまで届く静けさ。または光。朝も夕も日差しが傾き、目を凝らしてもどこか正体不明になる眩しさ。そして乾き。触れても引っ掛かることなく離れていく指先の感触。
つまるところ、冬は個を際立たせる季節です。そこら中が芽吹いたり咲いたり枯れたりと派手に立ち回るうちは、騒ぎに身を委ねていれば自分もあちら側にいる心持ちになれました。けれど冬はどうにもそれを許さない。置いてきぼりを喰らったような急な静寂の中で、立ちのぼる線香の煙のように香るのが私です。
バラやユリが気高くも人を喜ばせる香りに相応しい花姿をするように、私の花は寂しいものです。鳥の嘴を束ねたような花弁には筆で掃いた程度の色がのります。静かで鋭い香りには奥行きがあり、ふいに涙を誘いもするでしょう。過去を省み未来を案じるような慟哭を連れてくるかもしれません。
この香りは危ないと思いやしませんか。ならば私とあなただけの冬の秘密にしてはいかがでしょう。秘密があると行動の意味が変わります。朝起きて外出し家に帰る、その姿は以前と何ら変わりませんが、もはやあなたは重大な秘密を抱えているのです。安易に人になびかないあなただから守れる秘密です。世界から私を隠し、人々が冬を乗り越えられるように守ってください。
いずれ暖かくなり、私は枯れます。香りが幻になったころ、打ち明けるに値する人が現れたら、冬の秘密をそっと伝えてみてください。暗い部屋に漂う異国の匂い、冷たい空気と不思議な高揚、掻き立てられた不安、瞼に浮かぶ景色。言葉で香りは表し足りるでしょうか。もどかしさを覚えたら、次の冬、共に秘密を抱える約束を結ぶのも良いかもしれません。
清貧の家に客あり蘭の花 子規
趣味で植物を育てている。今日、花が咲いた。 その植物は買えば5000円とかする結構高価で珍しいもので、実際にその目で見ることはなくてもネットで検索すればその姿形を閲覧すること...
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そこで、ヤフオクの匿名配送ですよ。 なんとかして、その花のにおいをビニール袋の中に閉じ込めるんだ。 そのビニール袋を密閉して、花の香としてオークションに出品する。 即決価...
栗の花の香りはよく伝わるぞ