小学校のある学年のとき、その時の担任が突然「かくし芸大会やろーぜ」と言い出した。
心のなかで「やらねーよ死ねなの」と呟いていた私は、きっと周りも同じ気持ちだと信じていた。
準備期間は1ヶ月、チームを組むもの、技を磨くもの、何かブツブツと暗記しているもの、練習と称して隠すはずの芸を披露してまわるもの、その面々を見るうちに私は自分の孤立を知った。
同じようにかくし芸大会に反旗を翻した者たちと共に夏休みの宿題を提出せずに乗り切った連中の真似事をするはずが、クラスでただ一人の無芸無能と晒される未来が確定していった。
そして私は仮病を使い、逃げ切る道を選んだ。
本当に辛かった。
死ねなの。
今でも、仕事で辛いことがあった日の夜に限ってその夢を見る。
ただ勉強をして問題を起こさなければ生き延びられると信じていた社会が、個性・特技・一芸・差別化といったものを求める残酷なラットレースの場所であると知った最初の記憶。
とても辛い。
もうちょっと間違った方向に反抗的に進化すると 「じゃあ今日は、暇でなまけものの教師の真似をやりますね〜。 『あー、暇だなあ。なんか楽しいことないかな〜。そうだ!生徒にか...