私が通っていた大学は山の上にあり、そこは学校からの帰り道の坂を下ったところにある倉庫だ。
倉庫とはいっても立派なものではなく、トタンで覆われた錆びだらけの田舎の農家の庭の脇に置かれている
その倉庫の一角を私が借りていてそこには家具・・・思い出の家具が置かれていた。
家具の一つを開けるとそこには母の遺品があり他人のものではなくうちのものだと確信し安心した。
これも片付けなけきゃな。
観音開きの衣装棚を開けるとそこには私の過去に使った教科書が少し残っていた。
野球少年風の子供だ。子供だといってもすでに私よりも体格はでかい。
この教科書が欲しいのか?子供はかぶりを振るがそれを私は子供の照れとみて
教科書を次々と広げていく、この音楽の教科書が欲しいのか?子供が持つ教科書と比べ
当時の内容と比べまったく違うことを確認する。もう二十年以上の前のことだ。
住職が現れた。住職はこの倉庫の持ち主と懇意にしていてこの倉庫の管理もしている。
私は住職を見るとうれしくなり母の話をしようと思ったが、住職に話を切り出す前に彼が挨拶をはじめ
矢継ぎ早に今年のクリスマスに来なかった私をなじった。
他人と勘違いしているのであろう私はクリスマスに住職には会ったことはないのに。