公共の福祉はかつて、警察国家、絶対主義権力による個人の生活全体に介入する正当性として謳われていた。
ナチスドイツでも「公共の福祉は個人利益に優越する」との標語があった。
日本でも60年代半ばまで、基本的人権を制約する立法の合憲性の根拠として公共の福祉が用いられてきたが、
その後は制限される基本的人権とその制限によって得られる社会的利益を比較衡量する手法に変わった。
基本的人権相互間、基本的人権と社会的利益の矛盾、衝突を調整する公平性こそが公共の福祉と考えられるようになっている。
平たくいえば、かつては垂直的なトップダウンを正当化する際に「公共の福祉」が掲げられたが