久しぶりに会った大学時代の後輩が以前と見違えるようになっていた。
夢見がちで、地に足をつけて働くという事に興味がなく、バイトと酒に明け暮れていた奴だったのだが今は希望の業界で生きていくことを明確に決めて勉学に励んでいる。
後輩ながら尊敬と羨望を禁じえなかった。
すげーよ、本当にすごい。
もちろんそれが夢物語のまま終わる可能性は低くないだろうが、話を聞けば今できる努力はどう考えてもやっているようであり、今後5年の将来像もかなり明確だった。
私も年齢で言えばほとんど差がないのに、夢を語る若者の横顔にドキッとしてしまった。
あまりにもまぶしく美しい表情で今後の計画を話すその姿を単純に素敵だと思い、また今の自分の姿を”誰か”に咎められるような感じがしたからだ。
私にだって夢はある。
割と頑張っている方だとは手前みそながらそう思う。
卒業後は食品や化学系の企業に普通に就職して、それなりに生きていくつもりだ。
しかし、現在は燦然たる若者の姿に触発されてこの選択が誤りでないかを内省するに至っている。
幸運なことにこの若者たちは私の持つ彼らの夢に関するセンスや知識を高く評価してくれているのである。
心のどこかで彼らに憧れていて、高い評価を受けて喜んでいること自覚しなければならないだろう。
情けないと思う反面、あちらの道に興味を惹かれている。
自分がどこで何をして何を目的として生きていくのかを考える時間がまだ残されている。
私は私として生きられる選択肢を選び続けたい。