年上の彼氏と別れた。
同棲をしている間、生活費の4分の3以上を私が出していた。それなりに節制をし、貯金はないわけじゃないが、あるわけでもない。私の給料はそんなもんだ。子どもを作ろうと言われたがこの経済状況で自分が産休育休の間の生活費はどうするんだろうと思った。
彼はお金がない。仕事はしているが一人暮らしをするのが難しく感じる程度の手取りしかない。能力がないとは思わない。知的で教養があると感じることは多かった。なのになんでこの人はお金が稼げないんだろうと思っていた。
経済的な理由の他にもいくつかの出来事が重なり別れることになった。理由は1つではないが一番大きな理由はなにかと聞かれたら金と答えるだろう。私は1人で暮らしていく分には大丈夫だろうと思える程度の稼ぎはあるが、2人分またはそれ以上の人生を背負うとなると話は別だ。私にはその責任は重過ぎた。
私はあまり過去に興味がないので出会う前の職歴についてはよく知らなかったのだが、彼はいわゆるロスジェネと呼ばれる世代だった。この世代は大変苦労しているらしいとなんとなくは知っていたが、彼が該当することは別れてから気付いた。
ロスジェネ。彼らは社会から見放されチャンスすら与えられなかったらしい。彼がどうにかして掴んだチャンスが私だったのかもしれないと思うことがある。それを振り払った自分が極悪人のように感じることがある。幸せにしてあげたかった。たまにハガキが届く。メールではなく、ハガキ。今どこにいるんだろうか。リターンアドレスくらい、書け。