ただあれが本当に世間一般で言われる幽霊と言うものなのやらさっぱりわからない。その程度のもの、を見た。
大学3年生の夏だった。
その時俺は大学の部活動の合宿で四国にいた。合宿は男女混合で、パーテーション一つで区切られた部屋に男部屋と女部屋を分けて寝泊まりするような、まぁ体育会系にありがちなゆるーいかんじの寝床だった。
朝から晩まで練習して、お風呂に入ったあとにミーティング、そのあとは自由だったので、大学生らしく毎晩酒盛りをしていた。男も女も同じ部屋だったし、寝るときはだいたい酔っぱらってみんなで雑魚寝。目覚ましで飛び起きるという生活だったので、男部屋と女部屋を区切る仕切りであるパーテーションはあまり意味をなしていなかった。
合宿の4日目だったと思う。
風呂はシャワーが2ヶ所で、順番待ちをしないと入れなかったので友達が上がるのを待っていた。
ふと、パーテーションの方を見やると女の子が向こう側を歩いていた。あれ誰かお風呂から出たのかな、それとも今から行くのかな、と思っていると、仕切りの途切れた所からは、白い足首だけがすたすたと歩いて、壁をスッと通りすぎていった。
怖さは感じなかった。へー、という感じで風呂に入り、30分くらいして初めて、あれは幽霊だったのではなかろうかと気付いた。
何かチャンネルがたまたま繋がったような感じだった。特に悪意があるような気もしなかったので、本当にたまたま見えただけなのだろう。