今更になって、実家の暮らしを懐かしむようになってきた。しかしそれは厳密に言えば、弟のいる暮らしを懐かしんでいる、という気分である。
そろそろ肌寒いからだろうか。その影響の無い訳ではないと思う。
ましてや雪国の地方都市にある2DKの団地には子どもに個人の部屋の割り当てがなく、弟と二人で万年敷きっぱなしの布団に寝起きしていたことと関係のないわけではあるまい。
布団の調節に難儀するこのくらいの時期であれば、これまでは寒ければくっついて寝るというだけで解決できていたのである。
一人暮らしになって初めて、その癖が付いていたことに気付いた。弟の居ないこの暮らしは、近々私に風邪をひかせる予感をもたらしている。
大学の友人とするゲームは高校の頃の友人としたそれと変わらないが、やはりマリオカートにおけるセンスというものは弟との日常的な手合わせ、日頃の鍛錬においてこそ磨かれるものということも分かった。
過日ようやく手に入れたSwitch版は、やはり場数の不足が目立つプレイングが多いように感じる。これは年末に持ち帰る課題としたい。
自炊のためにスーパーへ出掛ければ、弟の好物が眼に入る。時計が22時を指せば、もう寝たかな?と思う。
次第に慣れて来つつある東京での暮らしで、ふとした拍子に脳裏をよぎるのは父母のことでも郷里のことでもなく、実家で私の遂に成し遂げなかった一人部屋ライフを満喫している弟であったりするのだ。