打ち上げ花火見た。コゼットの肖像を見たときと同じくらいなんだろうこれはっていう感じがした。コゼットの肖像ってのは新房がソウルテイカーのあとくらいに作ったOVAで、フェイトちゃんの家に住んでほむらちゃんの家で古道具屋をやってる主人公がひたすら痛い目に遇うっていう話。細かいところは忘れちゃったけどなんだろうこれはって感じの話。それを見たときと同じくらいなんだろうなこれはって思った。良いとか悪いとかそういう判断ができないくらいわけがわかんないものを見た感じ。
で、もしも玉ってなんなんだろうって少し考えたんだけど、もしも玉は現実から逃れたいなーって思ってる人に取り憑いてその人が見たいと思っているものを見せる魔物みたいなものなのかもしれない。あれって元々なずなのお父さんが死んだ時に一緒に浮かんでたやつじゃん。だからなずなのお父さんはあれに魂を喰われたんじゃないかなって考えたのさ。マッチ売りの少女がマッチを擦るように、もしもの幻想を延々と見続けて。
物語の冒頭でなずなは(父親の死体が浮かんでいたところで)もしも玉を見つけて拾うわけだけど、実際は悩んでるなずなをもしも玉が見つけて取り憑いたんじゃないかな。で、なんかのはずみで典道に拾われ(せ)ちゃって、それで典道のもしもを叶えるふりをしつつ、じわじわともしも玉の中におびき寄せていって二人まとめて喰おうとしていたんだけど、最後の最後で花火師のおじさんに花火にされちゃったと。
もしあそこで花火師のおじさんが出てこなかったら、二人とも次の日にはなずなパパと同じ場所で死体になってぷかぷか海に浮かんでたんじゃないのかね。
もしも玉が見せていたいろんなもしもの可能性ってさ、後悔なんだよね。全部あの時ああしていればこうしていればもしかしたらみたいな。叶わないものをもし叶ったらって夢を見せる魔物だから。でもそれを壊すのがさ、なんていうかダメなおじちゃん、昼間から酒飲んでくだまいてホラ吹いてるおじちゃんていうのがちょっと面白いよね。嘘をつく魔物が嘘つきのおじちゃんに壊されちゃうんだもん。
あるいはあの物語の登場人物の中であのおじちゃんだけが醒めてたのかもしれない。あのおじちゃんだけが夢も希望もなくて現実しか見えなかったから、もしも玉を割れたのかもしれない。