なんだか無性に死にたくなった。
理由はもろもろだが、なにか一つ大打撃になるようなものはなかった。
私にはいつも何事にも「生きるか・死ぬか」の選択肢が付いてくる。
立ち行かなくなったらいつでも死ねばいいと思っている。
でも死にたいと思っている訳ではない。
いつもはおとなしくしてくれている自殺願望がふわっとなんの前触れもなく暴発することがある。
それは、「辛いことがあって死にたい」ということではなく、「これ以上生きているメリットを感じない」と感じたときだ。
誰かに怒りを感じるでもなく、自分を責めるでもなく、今までのパッとしない道のりを振り返り、それでももしかしたら、まだ見ぬ成功体験があったかもしれない人生を思って、流れの速い雲を眺めながら泣いた。
ボーッと、休日出勤でも深夜まで働いているであろう人たちが放つ光の夜景を眺めた。
いけないことなんか無かった。全てに理由があって、こうならざるを得なかった。
あるいはその当時の自分の判断能力が鈍かったり、逃げ出してしまったり。
悪く転がらないよう尽力してことなきを得た物事は日常としてすり抜けていく。
そうやって、私の死もすり抜けていくのだろう。
そんなことを思いながら、なんとなく歯を磨いた。
コーヒーを飲んだ。
でも死ぬ気は失せた。