職場の同僚の男と、ものすごく気があう。話せば話すほど、好きな音楽や趣味、考え方やバックグラウンドも似通っていることがわかり、そのうち昼ご飯も晩ご飯も、いつの間にかほぼ毎日一緒に食べるようになった。
他の同僚には内緒だが、酔った勢いで関係も持ってしまっていて、たまにお互いの需要と供給が合えば、男女の関係にもなる。
でも、とくにお互いを恋人同士だとか好きだとか言い合ったことはない。土日も一緒にいてデートするけど、手も繋がないし腕も組まない。
今の仕事は数年以内に転勤があるし、お互い今の仕事を続けたいので、この関係が数年しか続かないのは目に見えている。私は彼が好きだけど、彼はどうかわからない。だからこそ、この関係はなに?って聞いた瞬間、今の関係が壊れそうで聞けなかった。今この関係があれば幸せだしいいや、と思っていた。恋人というレッテルがあると、恋人としてするべき仕事が増えて自由に振る舞えない、という面倒さもあった。
この前、他の女性の同僚ととても仲良くしていて、嫉妬してしまった。約束がないことの怖さと、独占したい欲深さを実感した。相手にも私が嫉妬しているのが伝わってしまい、気まずかった。だけどそれ以来、なぜか一緒にいる時間がいつもに増して長くなった。
この微妙な関係に名前をつけようと思った。セフレかな、セフレでも普通のデートするのかな、どっちかっていうと親友(セックスあり)って感じかな。つけようと思うと、いい名前がつけられない。都合のいい関係なんだから、つけなくてもいいかもしれない。名前のない幸せというのも、存在するのかもしれないね。