前は、イベント記念アンソロジーや好きなカップリングのアンソロジーの企画が発表されるとわくわくしてサイトを見に行ったり、イベントで購入するのが楽しみだった。
ただ、その頃は私も絵を描き始めて間もなかったし、到底アンソロジーに誘われるだけのレベルではなかったので、一読者としての楽しみであったのだと思う。
それから数年経ち、個人誌を出したり、頻繁に同人活動をするようになって初めて
アンソロジーに誘われないということは辛いことだ、と感じた。
公式が発行するようなものはともかく、同人活動の一環として発行されるアンソロジーというのは、そのくくり(カップリングだったり作品だったり)が好きな人たちで集まってワイワイ楽しむ、お祭りのようなものだと思った。
参加すると「私はこの作品(カップリング)が好きですよ」という印象も付く。
周りの、同じ作品やカップリングが好きな人たちがあるときから一斉に
「DM送りました!確認お願いします!」 「メッセージ送ります!」とざわざわし始めて、その後、企画がたちました!サイトができました!とアナウンスされるのを見ているのが辛い。
言い方はとても悪いが、仲間はずれにされている気持ちになる。
これが作品を生み出さずに喚いているならともかく、普段から作品を投稿したり、呟いたりを頻繁にしていても誘われないと、「その作品やカップリングを好きな人たち、の中に私はカウントされないんだ」と思ってしまう。
周りがその話題で盛り上がれば盛り上がるほど、どんどん惨めになっていく。
それが原因となり、この作品やカップリングをいくら描いた所でどうせ私の作品はいらないんだ、と思われているなら描かなくてもいいだろう、とジャンルから引いてしまったこともある。
自分の作品が技術的に稚拙だから企画には需要がないことは分かっているけれど、
分かっていてもそういった、「需要がある人たちだけで集まって作った作品集」のようなあからさまな形として見せ付けられるとどうしても辛くなってしまう。
以後、その企画に参加した人から自分の作品を褒めてもらっても、どうしても信用できず、とりあえずお世辞で言ってるだけなんだな、と全く嬉しくなくなってしまう。
自分の心が狭いことは分かっているけれど、そういうことをもやもやと考えるようになってから全ての企画を素直に楽しめなくなってしまった。
なんで自分を誘わないんだ!という怒りとかじゃない。ただただ今まで自分が好きで好きで書いてきたものは何一つ需要がないものだったんだなあ、と悲しくなるだけ。
私みたいに小さいことをウジウジ引きずる人がそうそういるとは思えないけれど、全く知らないジャンルやカップリングであっても、アンソロジー企画を見かけるたび、もしかしたら誘われなくて惨めな思いをしている人が居るかもしれない、とどうしても考えてしまって、素直に喜べなくなってしまった。