2016-11-10

「この仕事は俺にしかできない」

最近思っていること。人間ってマクロにみると面白いくらいモデル通りの行動をとる一方で、個別具体的な事案をみていくと、全く予測できないことを考えて動いていたりする。「えっ、お前そんな風に思ってたの!?」っていうすれ違いは人の世の常である。だから今私が思っていることもあくまで私が持っているモデルに基づく推論でしかないこともわかってはいつつ。

ずっと「自分しかできないこと」をやってきた人がいる。でも、本当に「その人にしかできないこと」なんて実際には少ない。もちろん、その稀少性、特異性の程度はことによって違うけれども、多くの仕事は同じようなことができる他の誰かを持ってこれば代替可能である。そして大抵、当人もそんなことはわかっている。わかっているから、「この仕事は俺にしかできない」という自負と、「こんな仕事、本当は誰にだってできる」という自嘲とを、同時に心のうちに抱えていたりする。

この感情は複雑で、「自分は大したことはやっていない。適切な勉強をして身につけた程度の能力だ。もっとできる奴は(外で)いっぱい見てきた。」という劣等感と、「なのに周りの連中はそれすらできない。だから俺がやるしかない。俺にしかできない」という優越感とが表裏一体になっている。

そういう意味で「自分"なんか"より能力が低い連中の不出来っぷりに愚痴を吐きながら、それでも自分能力コアコンピタンスとして生存、あわよくば出世」という状況は準安定な居場所ではある。でももし、ある日「本当に自分より能力がある人」が現れたら、準安定でしかないその場所にはもう居られなくなる危険性は常にあって、そうなったとき自己をどうやって保つのか、というのは難しい問題だと思う。

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