2016-08-24

「ようこのようは太陽のよう!」

路線バスの車内、その頃はやっていたフレーズオタク友達同級生と叫んでいた。

「ようこのようはヨーダのよう!」

「ようこのようはヨード卵光のよう!」

今になってみれば何が面白いのかわからないが、あの時特有の何かが僕らのテンションを高みへと連れ去ろうとしていた。

傍らでは、母親に連れられた5歳くらいの小さなむすめがそのやり取りを不思議そうな顔をしてみている。

お兄さんたちの面白さを見せてつけてやろう。

友人と言葉を交わしたわけではないが、お互いに何となくそう思ったのを感じ取ることができた我々は、表情や声色を変えながらさらにやりとりをエスカレートさせていった。

「ようこのようは父さん、、、妖気を感じます!のよう!」

「ようこのようは妖怪一反木綿のようばい!」

ちらちらと苛立つような視線を送り始める母親。次第にうつむいていくむすめ。

笑わせるまであと一息かとさらに力が入る我々。

「よぅこのよぅは妖術師ゲドゥのドゥ!」

「ムハハハハ!この世を破滅に導いてくれる!」

「そうはさせない!」

貴様きたろう!なにを小癪な!」

「くらえ!リモコン下駄!の、よう!」

「ようねーし!なんならドゥとかいっちゃったし!」

ここで停留所に到着。残念ながら親子はここで降りる様子。

とうとうむすめを笑わせることはできなかった。

すれ違いざま、むすめが母親に何かを聞いてることがわかった。

「ねぇ、妖術師ゲドゥってなに?」

その声色は明るくない。

「いいから早く行きなさい!」

小声ながらも叱りつけるような様子の母親

だって、ようこ聞いたことないんだもん!」

凍りつく車内。

太平洋より深く反省したひどく暑かった夏の日の思い出。

この場をお借りして、全世界のようこにお詫び申し上げたい。

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