ある日、定期テストの点数の目標点を書かせるシートが配布された。
五教科その他、それぞれ書き込む欄がある。それぞれの目標点を書き込む。
定期テストはすべからく100点を目指すべきではないか。そう思っていた。
授業で覚えるべきことが定期テストでは出題される。
そして、授業で習ったことは、基本的にすべての内容を覚えるべきだ。
だからして、テストというものは当然100点を目指すべきものだ。そう考えていた。
友人は苦手教科を50点とか、得意教科を90点とかにしていた。
これは絶対におかしいと思った。苦手でも得意でも100点を目指すべきなのだ。
授業内容を100パーセント理解してほしいと思っていないのだろうか。
はじめから70点だとかなんとかだとか、生徒が授業を完璧に理解していないことを目指せ、目標とせよ、と言っているに等しいのだ。
ふざけるなと思った。何のための授業なのか。授業を完全に理解することを否定するようなものだ。
もちろん、現実的に100パーセント理解する、というのは困難だ。実際的には80点、70点とか、それぞれの実力に合わせた点数になる。
だが、はじめからそれを目標にするのはおかしい。100点目指して、満点目指した結果、80点とか70点となるべきなのだ。
なぜはじめから満点を放擲するのか。はじめから「目標点」を設定するのに、何の意味があるのか? そう思っていた。
だから私は、すべての欄に100と書いて、速攻で提出した。
すべて95点にして出した。それでも駄目。
適当に85~100点の間にばらけさせた結果、提出が許された。
おかしいことは、私は言っちゃあなんだが成績は優秀で、どの教科もぶっちゃけ100点近く出せる脳髄を持っていた。
だからぶっちゃけ理由なんかなくたって目標を100点にしてよかったのだ。上の段落で屢々述べてきたことがなくたって、100点と書いてよかったはずだ。
だけど駄目だった。
定期テストでは、見かけ上であっても100点を目指すべきなのだ。
憤った私は、定期テスト12科目のうち5科目100点、残りをすべて90点台にしたことを覚えている。
そうして次の「目標点」記入シートで何も考えずすべての欄に100と書くことを押し通した。実力行使だ。
センター試験ではさすがに満点は無理だった。確か770点だった。
でも、全部満点取る目標は変わらなかった。これで800点台だせたらかっこよかったんだけど。
それぞれの科目で満点取るために、どのように得意分野で時間短縮して、どのように苦手分野に時間を割いて、どのように解いていくか……などなど。全体から見てどう考えるか。
今は社会人になって直接点数で結果が出ない社会にいるけど、いつだって、気概だけでもベストを尽くして頑張りたい、と思っている。